中秋の名月と月下美人

昨日は中秋の名月。昨日の月は本当に名月でした。

月下美人」という名の植物があります。
なかなか花を咲かせてくれないのですが、純白のかなり豪華な花びらを持つその花は甘い香りを強く放ち、その名の通り日が暮れて月の出る頃に咲き始め、明け方にはもう花びらを閉じてしまいます。
3年前、真宮さんに苗を譲ってもらい、そのあと中澤自動車からもひと鉢もらったのですが、そのふた鉢が昨日、東の空に赤い月が昇った頃、同時に合計4つもの花を咲かせてくれたのです。
真っ白い巨大な花と大きな赤い月、庭中に立ち込めた香り。昨夜は数年前の皆既日食以来の天体ショーでした。

そこで考えてしまうのですが、月の出る時間に咲き始めるから「月下美人」なのだと思っていましたが、昨日の花たちは中秋の名月に合わせて咲いたのでしょうか?そうでなければ出来すぎた話です。
女性が満月に合わせた出産や生理の波を持っていることは知られていますが、こういうことはなかなか科学的実証が得られません。「なんだかよくわからない出来事」に分類されます。
自然科学というものは、「こうすればこうなる」と実証できることばかりを崇めて、「なんだかよくわからないもの」は無視してなりたっていますが、女性のそんな出産も、整体がやっていることも、生き物の命もすべて「なんだかよくわからないもの」の範疇です。命というのは、その「なんだかよくわからない」ところから来て、そこへ帰っていきます。

でも、そのなんだかよくわからないものの力が地球規模で弱まってきているのではないかなという危機感を感じることはないでしょうか?僕は最近、そのことばかり考えています。コロナウイルスはこのことに関して何も悪いことはしていません。問題があるのは人間の経済活動です。

だから、昨夜は州子と二人、月下美人の放つ香りに包まれながら月を見上げて、なんだかよくわからない力の中に身を浸して過ごしていました。
こういう特別な出来事はまだ他にもきっとどこかに隠れています。それを、よく気をつけて探していきたいものです。

コロナ禍のこれまでと、講座のこれから

10月になりました。今月から講座のかたちが大きく変わります。
この数週間、州子は参加者との調整のやりとりが続いて大変そうでしたが、講座数を増やすことでどうにか落ち着いたようです。
このような変化はもちろんコロナ禍の影響を受けてのことですが、正確に言えばウイルス感染対策のための対応ではなく、人対策です。

ウイルス感染対策をしないくていいと言っているのではありません。
しかし、この半年間、コロナ禍の中で私たちの身の回りに現実に起きたことといえば、死者はゼロ、感染者はありましたが軽症、それに比べて誹謗中傷を受けて精神的にダメージを負っている人は数知れず、毎日のようにそのような人たちから苦痛の訴えを聞かされています。
ここからそう遠くはないところにクラスターの発生した病院があり、そこの看護師が近隣の人たちから受けた苦痛の話は前にも書きましたが、コロナに関わる特定の職業の人たちに対する偏見などが後を絶ちません。近くの町では家族に陽性反応が出たために引っ越した家族もあったらしいし、誹謗中傷で自殺者まで出ています。
まるで中世の魔女狩りのような話ですが、これが私たちの身の回りで起きている現実です。

「テレビの報道を鵜呑みにせず、まわりをよく見て自分の頭で考えよう」とはいつも言っていることです。そうやって、自分たち自身の手でできることがあるはずだと思って講座をやっているのですが、ウイルス対策よりも、不安にとりつかれた人の心理についてみんなで考えるほうが喫緊の課題なのだと思います。

 

9月からの講座について

毎月、郵送でお送りしていた「愉気便り」を9月からしばらく休止することと、9月から各講座の形を変更することを書いたお知らせを先日、会員の皆様にお送りしました。
愉気便り」のお休みは過去にも何度かあるので、古い会員は「またか」「どうせしばらくしたらまた始まるのだろう」くらいに受け止めてくれているようですが(僕もそう思っています)、講座変更のお知らせは少し説明不足だったようなのでここで補足しておきたいと思います。

コロナ感染拡大の影響で講座を休止、再開してから、影響を受けずに続けられる方法をずっと探してきました。いろいろな案が出て二転三転してきましたが、今まで借りていた自治会館を使わずに自分の道場で少人数で稽古していくということに落ちつきました。
9月からの全ての講座は、自治会館ではなく安井整体の道場で行います。
場所が変更になったので、突然、全ての講座を見直すことになってしまいました。
これから講座で注意していかなくてはならないのは人数制限です。しかしこれは、かねてより一人一人の稽古に目が行き届くためにも少人数でやりたいと思っていたことです。
前もって予約登録してもらうという手順は増えることになります。

ところがいま予想に反して困っています。余裕を持って講座を増やしたはずなのに、5講座100人分の予約の枠が二日ですべて埋まってしまいました。こんなことは今までなかったことです。いったい何が起こっているのでしょう。これからのコロナの時代に対する稽古の必要性を僕たちが思っている以上に皆さんが感じているのでしょうか。受講者の新規募集ではなく、単なる時間割変更のつもりだったので、僕たちもちょっと戸惑っています。
稽古の必要性を説きながら告知から二日で締め切りでは自分でもあんまりだと思うので、まだ検討中の方がいましたら早めの連絡をいただきたいと思います。

便利さで失われるもの

夏の暑い日に、「なにか涼しくなる方法はないかな」と考えていると憶いだしてしまう話があります。

30年くらい前、僕はイタリア製のオフロードバイクを輸入する会社で働いていたのですが、世界選手権を追いかけてヨーロッパで過ごした夏がありました。大会前日に会場を下見に行ったときのことです。レース会場の入り口前には広大な駐車場がありました。車をどこに停めても良かったのだけれど、僕たち日本人は何の疑問も持たずに入り口に近いところに車を止めました。しかし、そのとき同行していたイタリア人はかなり離れたところに車を停めました。
僕たちは意味がわからず、口の悪い仲間は「イタ公のすることはわけがわかんねえな」と言いました。「イタ公」は親しみをもって使っていた言葉ですが、イタリア人の行動はわけがわからないと感じていたのは本音です。
会場は山のなかにありましたが、夏の日差しを遮るものは何もなく、コースを徒歩で見て回ると4時間くらいかかりました。その暑さにかなり疲労困ぱいして車まで戻ろうと歩いているときに、ちょっとした高台から駐車場全体を俯瞰する光景を目にして僕は息を呑みました。僕たちのレンタカーは炎天下で太陽に焼かれていましたが、あのイタリア人が車を停めた場所だけが遠くの山に太陽を遮られて日陰になっていたのです。それもかなりのピンポイントで。
僕が驚いていると、隣にいたイタリア人が「気がついた?」という感じでニヤッと笑いました。
彼もこの会場に来たのは初めてなのに、この現場を読む能力の差に愕然としました。そして歩く距離が短くて済むことだけにしか意味を見つけられなかったことを、幼稚で恥ずかしいことと感じました。
帰りの車中で「アイツ、すごかったな」と話すと、同乗していた日本人選手たちはレンタカーのエアコンの効きが甘いことにしか興味がないようでした。そして、「あいつの車にはエアコンがないんだよ」とか(本当になかった)、「だからあんな未開人みたいなことをいつまでもしているんだ」と言うのです。
天の動きを読む能力に優れていることより、エアコンの効いた車を所有している人間の方が高級だなんて日本人はいつから思うようになってしまったのだろうと思いました。
「これでは明日は勝てないな」と僕は思いました。実際、翌日の大会で優勝したのはあのイタリア人でした。天を味方にしているものに勝てるはずがないのです。


昔、南の国の島の酋長みたいな人で、世界中のどの場所に連れてこられても自分の島のある方向を正確に指さすことができた人がいたそうです。こういった能力は生活が文明化するとともになくなっていきました。GPS機能のあるスマホを持ち歩く現代人にはもはや無用のものです。

けれども、本当にその方向でいいのだろうかと思ってしまいます。
こうした疑問の答えがはっきりと出るのは困難や災害に出会ったときだと思いますが、さしあたってこれから毎年訪れるだろう夏の猛暑に対して、エアコンに頼りきっている人たちは乗り切れなくなっていくのではないだろうかと最近は真剣に感じているのです。

臨月の夏

長女の春香が臨月に入った。
春香には毎月、「愉気便り」製作のためのパソコンでのデザイン作業をお願いしている。
こちらは毎日の仕事で女性と見れば「目の疲れに気をつけてね」「パソコンはほどほどにね」などと言っているのに、自分の娘にこんな仕事をさせていいのかと本当は心苦しく思っていた。
だからお腹の子が逆子になって、検診で「このままだったら帝王切開です」と言われて青くなってやってきた時も「オレのせいか」と思ってしまうのだけれど、お腹に愉気をしてあげればその場で逆子が元に戻ってしまうような気の通りの良さが母子ともにあって、このままなんとかいってくれよと思うのだけれどやっぱりなにかが起こるものです。
本人は、「ヨガをやっていて足を滑らせた」と言っているが、妊婦は足を怪我してはいけないものだ。最も怖いのは速度のある打撲だが、ヨガのようなギリギリの体勢で起こるアクシデントもあってほしくないものだ。
出産を目前に股関節を痛めるという目を覆いたくなるようなことだったが、それでも股関節から足先まできちんと気が通るようになっているので大丈夫だとこちらは思っていた。
ところが先日、足がむくみ出したと言うので家まで行ってみて別の問題が見つかった。ここのところの猛暑でずっとエアコンの効いた部屋で過ごしているらしい。足が痛くてあまり動けずエアコンが効いていれば足がむくむのは当然だ。女性の生殖器とエアコンは相性が悪い。
ところがエアコンのない生活をしようにもどうにも家の風通しが悪い。「なんでこんな風の通らない家に住んでるんだ」と文句も言いたくなる。
体を整える話は、いつも生活の仕方の話になるものだ。